2014年12月1日

東京で(六九)

そんなこんなで私めの役者人生が東映大泉撮影所で始まりました。
22才だったような気がします。何かここ迄の22年間がもの凄く長かったですな。
初めて出演?する映画のシーンは、主人公の女優サンが競馬場でレースを見物してる。
その女優さんの回りにいる客という設定。
つまりエキストラ(仕出し)勿論来る日も来る日も仕出し。
通行人、キャバレー、クラブ、そば屋他さまざまな店の客警官隊、ありとあらゆる役?をやります。
楽しいモンです。
ベテランの大部屋俳優さんなんかは、仕出しで目立つのを嫌がる為、私等新入りが結構通行人で目立ったりする。
けれど映画館で見ると、あっと思った瞬間にはもういない。疾き事風の如しである。

「博多の餃子「鉄なべ」の名物女将と」


 そうこうしてる内に、部屋の先輩達、とは云っても年下も随分いる。
彼等は挙友会といって、主役に又有らゆる格斗シーンに出演するスペシャリストで、勿論そのシーン以外で仕出しも演るのだが、ほぼ四十才位迄の俳優達が仕事の合間、或いは仕事終りの時間にその訓練をしている。
年輩の俳優さんに「お前も若いんだから、挙友会に入って鍛えた方がいいぞ!その方が子分AでもBでも早く役が付くから。」なんぞと云われて、それはそうだな。
第一見ていてもカッコ良いし、何より最初に撮影所に来た時に見た、健サンとのカラミ。
実に素晴らしく、今思うと挙友会の先輩達の格好良かった事、よし決めた、てんで殺陣師のH氏に頼んで入会した。

石倉三郎