2015年12月1日

東京で(八一)

実際何をどう考えても、普通の会社員の方が良いに決まっている。シカシ……オレハ何ヲスル為ニ、コノ東京ニ出テキタノカ!もう才能が有るとか無いとか、そんな事より「俺も男だ!」次兄の嘲る顔が浮かんでは消え、浮かんでは消した!負けてたまるかコンチクショー!!てんで、二日程経って社長に「本当に有難い事です。でも、ヤッパリもう少し形に成る迄は頑張りたいです役者を。このままバイトさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「そうか。しかし、何が良いのか判らんな。まあ、好きにしろよ」てな事でホッとはしたけど、何か俺はもの凄くマチガッタ選択をしたんだろうなと云う思いが暫く続いたなあ。
で、まあすぐに北海道へロケで行く事になり、勿論、「網走番外地」である。ハワイへ普通の社会人として、大抜擢されてハワイのスキ焼き屋の店長で行くのを断ってまで頑張ろうと思っている役者の仕事。まあ相変わらず、仕出しに毛の生えた位の仕事だけれど、それでも意気軒昂である。
「なあにその内何ンとかなるだろう〜い♪♪♪」植木等師の歌にあるではないか。そして例によって、現場では朝一で飛び起きて、頑張っておりましたよ。そんなある日、夕方に仕事が終わって、宿に帰ってきて、風呂に入って、メシ喰って金がないから皆で僅かな金を出し合って、一杯飲んで、さて明日も早いから寝るべえとなってスヤスヤと寝ておりました。とそこへ、いきなり電気が付いて、
「テメー等!起きろ!!早く起きやがれ!!クソ共!!」何だ!?何が起きた!?火事か?!なんて思っていると、その声の主、酔って目がスワッている例の演技事務員のWである。もうひとり背が大きいだけの衣装部のバカヤローがいる。

日韓合作映画、「つむぐもの」
の制作発表

石倉三郎