2016年7月1日

東京で(八八)

 イヤ本当に浮世は辛いことのみだナー!面白きことも無き世を面白く!何ンとかかんとかと。かの幕末の志士、高杉晋作さんのような心持ちで人生いかなくてはなと、まあそう思って毎日やってはいるんですがネ、これが中々ネ〜!色々ああでもないこうでもないと、先行きの事を考えあぐねていて、それでも三、四ヶ月位頑張ったのかなあ。結局こんな状態が続いたトコロで、好い目はない。どうせ大部屋役者に先は無い。しかしヤメたらどうなる?!俺のような三下役者に何ができる?!第一に芸能事務所なるトコロに入れる訳も無い。素人に毛が少しだけ生えた程度の俺が、然し残るも地獄出るも地獄!同じ地獄なら出て行くか!そう決心して同僚に打ち明けたら、「石倉、お前世界を舐めんじゃねえよ。状況はキビシーけど何ンとか食えるじゃねえか。そりゃココはぬるま湯かも知れネー。けどヤメて外へ出たらオマエ風邪ひいて肺炎起こしてオダブツだよォー!」これ聞いて踏ん切りが付いた!ヨシ、ヤメテヤル!肺炎上等だヨ!!しかし健サンに何と云う!?簡単に入れる処じゃないトコロに入れて頂いた。何かとお気遣い戴いて、その御恩を仇で返す事になる。嗚々〜!!進退極まったあ!!けれども何をどう考え呻吟してみても一旦辞める!と決めた以上もう根性が先に行っている。腹を括って報告に行った。ずっと静かに話を聞いて戴き、時折、笑顔を見せてくれて。話し終えたとき『サブちゃん、将来の事を一生懸命考えるのは当たり前のことだ。話は判った。サブちゃんが決めたことだ。サブちゃんの思い通りに生きなきゃな。』

つむぐもの、好調上映中!

石倉三郎