2017年4月1日

東京番外地(九七)

 そりゃあそうだ。家内中で一番良く出来た息子。何だかんだあっても、結局は他家を継いだ長男。所詮は嫁に行く姉。バッチの私めは仕送りはするが、芸能界と云う、何ンだか訳の解らん世界でウロウロしてるだけ。そりゃあ、お母ンの気持が手に取れる、やっぱりあの時俺、少し位妬んでいたのかなあ、イヤそうじゃねえんだけどなあ…つまりはこうだ、「そうか、やっぱりお母ンは俺の事、シンドイ奴やと思ってたんやなあ。まあ、ワシは頭悪いし、無鉄砲やからなあ。やっぱり何でも次兄やなあ。」と、するといきなり次兄「やかましい!黙っとれアホ!仕様も無い事云いくさって!俺が可愛かったとかお前がドヤとか、このお母ンは、そんな仕様もない事、思ってへんわい!」青い顔して怒鳴りやがる。「何がしょうもない事じゃ!ワシは別にそんなつもりで云うたんと違うわい!!康子(姉)がお母ンに聞いた。アーそうか。そんだけの話じゃ!!何もオマエがムキなって怒らんでもエエやろ!何じゃい。ガタガタ文句ばかりつけくさって、オマエ何ぼのモンじゃい!!」生まれて初めて次兄に対してキレた。さすがの次兄も時の剣幕に黙ってしまった。姉は泣き出す。親父はションボリ。長兄はウロタエル。いたたまれずに、「呑み直してくるわい!!」と家を出た。朝の事で店はない。クソったれ!しょうがなく近所の同級生だった奴の所へ行ったけど、いる筈がなく、よくオフクロが飲み潰れていた酒屋へ行くと、店主が「あーサブちゃん帰って来たんか。」

4月からのCM〜伍代夏子と

石倉三郎