2017年11月1日

東京番外地(百四)

 ホントに飽きもしないで、よく呑んだもんだ。芝居の方はずっと通り流しのような役ばかりで、これじゃ仕様がない!ついに役者になるユメは消えてしまい東映からここ迄七年、ウロウロしましたが、何の成果もなく、「よし引退だ!」、でまあ一応仲良くさせて貰ってた平凡太郎サンに「俺、引退します、色々お世話になりました」すると平サン「サブちゃん、引退と云うのは、そこそこの役者が云うことであって、サブちゃんクラスは、消えるだけだぜ。ま、又やる気になったら、いつでも戻ってこいよ。」そうか引退と云う言葉は俺クラスの三下役者は使う必要はないのか、そうだなあ、何んにもしてないもんなあ、引退という言葉はもっとエライ役者が使うんだな、いやあ恥ずかしい。それで夢破れ苦に負け、すごすご消えました。
アパートで毎日何もせずに、ひがな一日ボートして、夕方銭湯に行き、一杯呑んでハイおやすみ。こんなかんじで半月程たった頃、横浜の友達から電話があり、「まだ役者やってんの?え!?辞めたの?丁度いいや。俺、今度ルーレットとかバカラとかY県に持ってって、ギャンブル場を開けようと思ってんのよ。手伝ってくれよ。」「あ、いいねえ!やるやる。クサクサしてる処だ。」てな事で、横浜行って、準備に参加して一週間後Y県に向った。元焼肉屋を改造して、ハデなネオンを付けて。馬鹿さゆえに判ってなかったのだが《へ、バカ過ぎますなあ》何の事はない裏カジノだ。

石倉三郎