2012年7月1日

大阪時代(四十)

生まれて初めて、いや世の中というモンは、もしかしたら、それ程、酷く悪いモンでもないなあと、思いましたネ。まあとにかく舞い上がってしまって矢でも鉄砲でも持ってこい!位の気分。そこで例の鬼の兄貴に「とにかくこうして、受かったんやから、二次審査は東京やから、行かして欲しい。ええやろ?」
「阿呆か!」この次兄のヤロー、口を開くとアホか!だ。他にもっと何かボキャブラリーがないんか、と
思いながらも、ま、次の言葉は想像通りやろなあと思ってたら、「だいたいなあ、こんな一次の書類審査みたいなモンは、誰でも通るんじゃ。通さな劇団かて、やって行かれへんやろ!お前等の受験料が、目当てなんや。見てみい!お前のコノ写真、目つむって、しかめっ面で、風で髪の毛立ってもうて、何ンじゃコレ!こんなモン誰がエエって思うんじゃ。見て判るやろ、阿呆!」もの凄い言われようだ。一言も反論できない。

「夕景の通天閣」


夢もドンドコ破壊されていく。とにかく、この兄にとって俺という弟は「阿呆の極地」なんだろうなあ。
しかし、言う事に無駄がないのは事実だし、そうかあ〜一次書類選考というのは、誰でも受かるのか、
なんだよそれ・・・。そらそうだよな、それが世の中なんだよな。やっぱり世の中、世間って奴は、そうなんだよな。納得だなコレは。第一、俺みたいな奴が受かる方がおかしいんだよ、そらそうだ。
会社に行って、皆に何と言おうかい。

石倉三郎